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飛ぶ船
SERIE 1985年10月号に掲載。
『掲示板に霜月さんから情報をいただきました。掲示板やってて良かった(^_^)v』の第2弾です
掲載誌、掲載時期については、『ぱふ』(1986.4)からの転載です。
内容に関しては、全面的に霜月さんに感謝。


 ヒロインは30歳(だったような)のこだわらないさっぱりした性格の女性。
 そんな彼女の親友兼、恋人兼婚約者が【失踪】した。事件性はない。放浪癖のようなのだが、行く先は彼女も家族も誰も知らない。彼の母によるとそれは彼が15歳の時、遠い地の山で道に迷い一夜明けて発見された事件の後からの放浪癖だという。
 彼の行方を探るうち、ヒロインは彼の事ならなんでも理解していると思っていた自負が揺らぎ始める。
 そんな折、彼の母は、奇妙な事を思いだしたという。「15歳の息子が行方しれずになった夜はずっと雨が降っていたのに、発見され抱きしめた我が子は濡れていなかった」と。
 ヒロインは彼が嘗て迷った山に出かけてみる。彼への想いを再確認しながら山路を辿る彼女に人間離れした美女の幻覚が現れる。が、それは錯覚で端正な顔立ちの農家の中年女性だった。
 彼を見つけるヒロイン。いつもと変わらぬ彼だったが、先程見た【美人のオバサン】の事を話すと、ひどく驚いた後【どこか遠くに】想いを馳せていた。彼は少年の日、心細い夜に洞穴で同衾した夢とも現実ともつかない美しい年上の女性をずっと探し続けて、今日まで再会すること叶わず今回の旅で諦める事にしたのだった。
 ヒロインは想う。――それは私の知らない彼の顔だった。なぜなら私は【その夜】彼に何があったのか永遠に知る事ができないのだから。そして私にもきっと彼には立ち入ることのできない場所があるだろう――。


霜月さん的考察

 ところで『飛ぶ船』については、私の記憶が定かでない部分が多く、主人公の名前も思い出せないのです。それ故、単行本化されれば即、買いに行くつもりでしたが…。確かこんな話だったと思います。

 相思相愛で信頼しあっている男女でも、完全に理解することは叶わない。必ずどこかに秘め事がある…と言うテーマでした。(陽の末裔 第6部でも咲久子と卯乃が述懐しています)。
 相手が自分に対して【秘密】を持っていると言う事で即、不信感を抱くのではなくその【秘密】ごと相手を愛そう、その【秘密】と一生つきあっていこう、と言う考え方に共感を覚えました。
 蛇足ですが、この作品の舞台の山々。『杏子の帰る日』、『サルビア色の風の中』、『熱情』、『陽の末裔』など市川先生の描く山の風景って、中部地方や東北地方とかの東日本の土地が多いですね。西日本を舞台にした作品って、私は知らないんですよ。こんな事を感じるのは、私が住んでるのが西日本某県だからでしょうか(^_^)



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