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湘子
別冊マーガレット 1979年3月号に掲載。
掲示板での募集に、けろここさんからご提供いただきました。
けろここさんに大感謝。
スキー場。湘子は幼馴染で親友でもある歩(あゆみ)といた。そこに歩の会社の人々が合流してくる。
その中の一人、阿久津に湘子は惹かれる。スキーやテニスなど、二人とも行動的なところが合い、すぐに親しくなる。
すっかり阿久津に恋する湘子だったが、ふとしたことで阿久津は歩の恋人なのだと知る。目立つようにべたべたしたりしないので、知る人こそ少ないが、確かにそうなのだと。
一度は諦めようとする湘子だったが、趣味や嗜好は自分の方が阿久津に近いと気づいたとき、愛し続けてしまいたい・・・と願ってしまう。
ただの親しい友人の振りをして阿久津と付き合う湘子。そんな二人を歩は黙って見ていた。
あるとき、湘子と阿久津は、クルーザーに乗ることに。二人きりの航海を楽しみにしていた湘子だったが、その前日阿久津からの電話で、歩も参加することになったと聞かされる。
また恋人たちを見ていなくてはならないのかとショックをうけ、思わず「私が一番そばにいたいの」と告白してしまう。だが勿論受け入れられるわけもなく、阿久津は「ごめん」としか答えられない。どうすることもできず、二人は暗黙のうちに、その告白をなかったことにしてしまう。
ところがそれがきっかけに阿久津は湘子を意識するようになる。隠し切れずに溢れてくるような、ひたむきな湘子の愛に、歩とは違う魅力を感じ、惹かれていく。
そんな阿久津に、歩は気づいているが、何故か何も言わないでいる。
やがて湘子は、こらえきれずに歩に、阿久津への気持ちを告白する。「ごめんね。だけど、止まらないの・・・。」。だが歩は静かに言う。「そのままいけばいいわ。あの人も、湘子を好きよ。」
湘子は、そんなふうにしていられる歩がわからない。
あるとき、海岸で三人が一緒にいるとき、岩場で湘子は足を滑らせる。とっさに支えようとする阿久津と歩。そのひょうしに、歩の持っていた鋏が、阿久津の手を傷つけてしまう。
「平気だよ。」という彼に、歩の方が「平気じゃないわ。あなたを傷つけるなんて。」と泣きじゃくる。
「あなたを苦しめるくらいなら、私が怪我をすれば良かった。・・・苦しめたくないわ。なんでもするわ。さがれって言って。傷つけって言って。・・・だけど、消えろとだけは言わないで。邪魔しないから、あなたを見続けるのだけは許して・・・。」
いつも冷静で大人の歩が取り乱す姿を見て、阿久津はお互いの必要性を再認識し、彼女を抱きしめる。
そんな二人を見て、湘子は立ち尽くす。そして、今度こそ二度と阿久津に会うまいと決心するのだった。
けろここさん的考察
湘子の奪う愛と、歩の与える愛の対比と言う話でした。演歌の主人公になるのは「与える歩」でしょうが、奪う愛はいっけん「わがまま」なだけに周囲の理解を得にくく、辛いものだと言うことが感じられましたね。私的には、二人の女の間でふーらふらしてる阿久津に苛々します・・・・。