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五月荘のめい
別冊マーガレット 1979年5月号に掲載。
掲示板での募集に、けろここさんからご提供いただきました。
けろここさんに大感謝。
絵本作家の夏子は、五月荘と呼ばれる自宅に一人暮らし。
そんな彼女のもとに、姉の訃報が届き、夏子は姉の三人娘の一人「めい」を引き取ることになる。
ところが、やってきたのは「めい」だけではなく、三人の「姪」すべてであった。
長女の「るい」は男の子のように元気。次女の「まい」はお手伝いが得意なしっかりもの。そして末っ子の「めい」は甘えん坊でおしゃま。
来てしまったものは仕方ないと、しばらく三人とも預かることにするが、長い一人暮らしに慣れた身は、子供たちをどう扱えばいいのかわからない。
ちょうど仕事上のスランプにも悩まされていた夏子は、子供たちによって生活が乱されることに、戸惑いと苛立ちを感じる。
しかし、無防備に甘え慕ってくる子供たちに、暖かいものも感じていた。
そんなある日、夏子は仕事に疲れてうたたねをしていた。そこへ子供たちがやってきて、夏子の髪にピンカールをほどこす。カールした髪の夏子を見て喜ぶ子供たち。
少しして、ピンをはずそうとして時、夏子が目を覚ましかけたので、三人は慌てて髪をそのままに部屋を出てしまう。
目を覚ました夏子は、窓ガラスに映った「髪をカールした自分の姿」を亡き姉と間違え、心臓が止まりそうなほど驚く。
いたずらにもほどがあると、激しく三人を怒る夏子。だが「めい」はいたずらじゃないと言い張る。「思ったとおりだったもん。ママにそっくりだったもん!」。
いじらしいほどひたむきに「母親」を求めるその言葉に、夏子は目をそらす。
「わたしは、あんたたちのママじゃ、ないわ。」
そしてついに叔父に電話をかけ、子供たちを連れて行ってくれと頼む。
「もう、限界。上の二人を連れてって。めいはしかたないわ。最初の約束だから。一番の元凶だけど。それでも、二人と別になれば少しは収まると思うから。るいとまいを、下の叔父様とで一人ずつ引き受けてよ」
この電話を聞いて、めいが叫ぶ。
「いやっ。いやよ、おばちゃま。あたしたちを一人ずつにしないで! パパとママが一度にいなくなったときみたいに、一度にるいとまいをなくさないで!」
泣きながら訴えるめい。その姿に夏子は、姉を慕っていた自分を見た。
いつのまにか忘れてしまっていた、自分の中の「小さな心」を思い出した夏子は、三人すべてを引き取ろうと決心する。
そして「五月荘」には、姪たちと夏子のにぎやかな声が響き渡るようになったのだった。
けろここさん的考察
ほのぼのとした読後感でした。昔は感じなかったのですが、自分が親になってから読み返すと、子供に無防備に慕われることで和んでいく夏子の気持ちがものすごーく実感できました。
「るい」「まい」「めい」という三姉妹の名前が、読んだ当初、とてもおしゃれに感じていました。いまなら結構よくある名前ですけどね。