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アーバン セピア
Me 1985年6月号に掲載。
『掲示板に霜月さんから情報をいただきました。掲示板やってて良かった(^_^)v』の第3弾です
掲載誌、掲載時期については、『ぱふ』(1986.4)からの転載です。
内容に関しては、全面的に霜月さんに感謝。
平成17年5月にあおば出版から文庫サイズのあおばコミックス『朱の群れ』に収録されました。
ヒロインは不動産関係の会社に勤める28歳(だったような)の女性。彼女は「男嫌い」と言うより、「軽い男性恐怖症」そんな彼女に本気とも、冗談ともつかず、「おれは惚れてるんだぜ。誰より先に。」とアプローチしてくる“彼”がいる。押しつけがましさのない“彼”に好意を持つもののそれ以上は何も進めないヒロイン。
彼女には自分でもよくわからない記憶がある。「知らない街角。倒れている男。叫ぶ幼い自分ー」ある日、仕事で迷い込んだ人気の無い路地で変質者に遭遇する彼女。間一髪 、変質者の男を殴って事なきを得るが、それがきっかけとなって幼い日の記憶が甦る。
「酔った浮浪者に路地に引き込まれそうになった4歳の自分。恐怖のあまりその場にあった割れたビール瓶を振り回した。そして男は倒れ動かなくなったー」 ――自分は4歳の殺人者だったのか――ひとり悩む彼女。
そして何の気なしに“彼”の事を母に話すと、その名に母は驚愕する「やっちゃん!? あなた、彼がやっちゃんだと知って…?」その言葉に再び記憶の続きが思い出される。「年上の幼なじみ。彼はあの幼い日、変質者を殺した自分の後ろにか立っていた―!!」
職場に“彼”が顔を出す度、怯える彼女。ヒロインの態度に異状を感じた“彼”は早退した彼女を追って、彼女の家に行く。そして言う。「あの日、おまえが襲われる寸前におれが割って入って、変質者を倒したんだ。変質者も気絶しただけで死んでない」と。ヒロインの母も補足する。それがヒロインの「男性恐怖症」の原因だと。
ヒロインは訊く。どうして幼なじみだと最初から名乗ってくれなかったのかと。“彼”は言う。ヒロインの心の傷まで思い出させたくなかったからだと。そのためなら一生待つ気でいたと。しかし彼女は言う。「もう待たなくてもいいんだ」
すっかり元気を取り戻した彼女に“彼”は思う。―そう、忘れてしまえ。俺だけが守り抜いた真実と共に永遠に忘れてしまえ―本当は犯人は死んでいたのだ。彼”がその場に来る前、ヒロインの手によって。しかし少年の彼は、警察にも親たちにも自分がやったと証言した。「誰よりも先に惚れていた」彼女の心を守るために。
霜月さん的考察
市川先生の女性誌時代の読み切りでは一番好きな作品です。
甦る自らの記憶に追いつめられるサスペンス。最後のどんでん返し。『忘れた海』と同系列の作品かもしれません。けれど“彼”の存在が回想ではなく進行形で描かれているぶんだけ、ごく自然に感情移入できました。
そして、市川作品に通じる理想の男性像――男が守るものは、物理的にでもなく経済的にでもなく女の“心”――
『陽の末裔』で野方が卯乃に求婚する「太陽を守ってあげる」の台詞の様に、愛する女が輝いていくため、支える事が本当に「女を守る」と言う意味である、と言う作品です。