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「踊る惑星」シリーズ
1989年・90年 office youに掲載。
何となく続きを感じさせる展開ではあったのだが…
昨年(1999年)、silkyのSUMMERスペシャルでいきなり2本掲載。
ちなみに江戸川ばたは立ち読みしているのだが、その時金欠だったので見逃し。
にやんこさんからの提供でまとめられます。
平成17年5月にあおば出版から文庫サイズのあおばコミックス『朱の群れ』に収録されました。
踊る惑星(1989.11)
夏記小夜子と娘の星華は母と子で二人暮らし。七年前に失踪した夫を法的に「抹殺」して、今まで住んでいた所から、職場の上司に紹介された「天羽荘」に引っ越してきた。
親子二人だけの表札を当初掲げる小夜子。大家の天羽は「不用心ではないか」と心配する。彼女は何で女家族は自衛して住まなくてはならないんだ」と憤り、しばらくはこのままでやっていく、と宣言する。
弁護士事務所に勤める小夜子は、大家の息子・累が「美形だがカルイ兄き」「男役の姉き」「オカマの若いおやじ」と表するような女性。事務所の「先生」である高倉は彼女を特別に気に掛けている。
ある日事務所で引越祝いと称した飲み会で、小夜子は帰りが遅くなる。すると部屋に入ろうとする男が居た。「あなた?」と思わず問いかけてしまう小夜子。
実は隣の、しばらく留守にしていた住人ドクター風早見の知り合いだった。そして同時に、ドクターとも彼女達は顔を合わせる。
しかし一人の部屋で怖くて様子をうかがっていた星華は小夜子が「あなた」と呼んだのを聞いてしまう。七年前、人を刺して逃げて海に飛び込んだままの父親を待っているのではないか、と母親を糾弾する。だから表札に自分達の名前を出しておきたいのだ、と。
そんな娘を小夜子は「大切なのは星華なんだ」と優しく抱きしめる。
小夜子は表札を姓だけのものに変えた。
ドラマティック・ナイト(1990.02)
同じ事務所の三和がある日、小夜子は「世間では未亡人てだけで価値があんのよ」だから気をつけなさい、と忠告する。事務所の所長を顧問弁護士にしている小田中氏が小夜子を狙っていると。
小夜子は、と言えば関心がないので、そう改めて言われると、世間というものに対する怒りがわいてくる。「だいたい未亡人ってことばはなんなんだ 変だぞ」
一方家庭の方では、累や風早見と一緒にご飯を囲む小夜子と星華。何となく「団らん」の日々を送る親子である。
そんなある日、小田中の所へ書類を届ける仕事の帰り、小夜子は小田中に迫られる。言葉で返す小夜子。それでもセクハラな言葉を並べ倒す小田中につい小夜子はカッとして平手打ちを加える。怒る小田中。しかしそこへ高倉所長がやってきて、その場は治まる。しかし顧問弁護士の座は無くなることとなったが。
落ち着いて帰るように、食事でもと誘う高倉。その道々で、ホームレスの人々につい目が行ってしまう小夜子。つい夫を捜してしまう自分が居ることを彼女も知っていた。
その話を風早見にする星華もまた、複雑な気持ちを抱えていた。そんな星華を風早見は優しくなだめる。
帰り道、少しお酒が入っていい気分の小夜子は、車道に飛び出しそうになって、高倉に抱き留められる。そのまま抱きしめられるが、高倉は「今解かれたら本気になってしまう」と解かないで、と言う。
小夜子も知らないことにしていた自分には気付いていた。だが彼女は、高倉の家庭ほ壊すのだけは嫌だった。そんな女にはなりたくなかった。
帰ったら娘はまだ風早見のところにおじゃましている。何となくそこでお茶をもらったり、天文台に行く約束をしながら、小夜子は風早見に現在はフリーか、と聞く。フリーじゃなかったらやめられるのか、と聞く星華に彼女は「やめられる」と答える。気持ちは止められないけど違う生き方はできる、その人の人生を大事にして違う関わり方をし続けられる、と。
私的考察
1989年。「陽の末裔」を終えたばかりの作品かなあ。今と比べて少し尖っているというか。
まあ実際、ウチなんかも一人暮らしだけど、表札なんか出していないし、「奥さん」と呼ばれるとあえて否定しておかない、という「防御法」を敷いている。その他、女の一人/女所帯というのは、非常に色々やっかいなことが多い訳だ。ああ全く。
2作目は職場…というか、職場そのもの、ではなくても「関わる」セクハラと、ちょっとだけ不倫(…)のこともかすめている訳だな。ここでは小夜子さんというひと、理性が勝ってるので、流されないんだけど。フツーのレディースだったら流されてますって(笑)。
でもこのシリーズ、絶対も少し続くはずだったような気がするんだわ。そうでもないと、このドクター風早見の存在が高倉さんに比べてあまりにも薄すぎる。この二人がくっつく、という展開だったら、あと最低2作は欲しい、とワタシだったら思う。
「法律事務所」話は、「この星の夜明け」もそうだったけど、何かどうも中途半端に終わった/終わらせられた、という感じがして仕方がない。うーん。
キャラクターも、わりと市川作品では脇役に回る「男まさり/いわゆる女気が無い」女性が主人公という珍しい作品(古いものでは「桐壷やしきの12月」の主人公がそうだったが…)だけに、ここで切れてしまったことが惜しまれるなあ。
シリーズタイトルの「踊る惑星」というのが、最初の作品だけではよく判らないし、この先天文台勤務の風早見の存在がクローズアップされて来ることで(このひとは市川作品における「いい男」の典型例かな)意味を持ってくると思うんだけど。
そーいえば90年代で、それでも多少はセクハラ関係は変わったのかなあ。