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日の彼方

SAKURA 1997年4・5月に掲載。無論お蔵入り。
前後編で、ワタシは前編の時だけ何故か買っていて、しばらく放っておいたため、いつのものかさっぱり判らず、最近ご協力により後編を入手、判明したというもの。
 けど、この時期にSAKURAで何かとこういう短編を書いていたということが伺われる。
 その後、別冊YOU、2001年12月10日号に総集編としてまとめて掲載されました。



 「地維貴臣 勢いめざましい新企業グループの若き創始者 ついに航空業界に進出! 規制緩和を追い風に イギリスのVグループとも提携へ! 35歳 離婚歴あり 出身 横浜 それ以上の私生活は報道されていない」
 カフェで雑誌を読んでいた日下真姫は思わず「もらった!」と叫んだ。彼女は青泉社のライター。新しくできる「みづえ」という雑誌に書く記事の素材として、それはもってこいだったのだ。しかし新編集長も、この人物のガードは堅い、と断言する。
 そこで彼女は直接この地維の会社へと乗り込む。ごくごく普通のOLのふりをして、とにかく彼そのものに近寄り―――目が合った時、何かがお互いに走った。
 真姫はガードマンに放り出されるが、地維は彼女の名刺を受け取っていた。
 そして戦法を変える。ご近所から得たデータから、「ヘザー」というイギリス風のパブへと出かける。もしかしたら来るかもしれない、と。案の定、地維はやってきた。ここのマスターの草は、地維の知り合いらしい。
 彼は真姫を奇妙なほどじっと見た。そしてプライベートな取材なら、と承諾する。
 移動しよう、と地維が真姫の手をとった時、不意に彼女の中に、大きな空、広い野の景色が浮かびあがる。地維はそれを「わたしたちの運命的な出会いのしるしなのだよ」と言う。
 一方草はグラスを握りつぶし、手にケガをする。
 後日真姫は「ヘザー」へ出向き、草に地維のことを訊ねようとする。すると地維からそこに電話が入り、中華料理のH楼に誘われる。
 毎晩のように誘いたい、と言う彼に、ふと真姫は不安になる。そしてまた、何か、が見える。それは女性の影―――
 真姫は「ご近所」の老人達に地維のことを訊ねる。案外身近に情報源はあるもので、彼の小学校の担任にたどりつき、そこから彼が少年時代イギリスに行っていることを知る。
 また、編集長の調べから、彼の元夫人の情報を得る。レディ・ローズというその女性は、何処か草と良く似ていた。
 様々なことが頭をよぎる。約束の時間に一人で歩いてやってくる彼を見て、ふと真姫は涙ぐんでしまう。ひどく切ない。一緒に歩くのも食事をするのも、仕事や幻のせいでは嫌なのだと彼女は判ったのだ。
 そして彼は港で過去の話をする。スコットランドで彼ら四人は幼友達だったのだ。彼とその姉・早花と、領主の娘レディ・ローズとその異腹の弟である草。彼らは北の大荒野で育ったのだ。しかし姉は若くして死んだ。25年前。真姫が生まれた年に。父親も事故で亡くした地維は、領主の子爵の援助で事業を興し、レディ・ローズと結婚した。しかしそれは間違っていたのだ、と。
 そのことを彼女は草に言う。草は何のつながりもない真姫が、姉すらも見ることができなかった地維の心の執着を見ることができたのを(たぶん)許せないのだ、と言う。地維は姉の生まれ変わりを求めていたのだ、と。
 そこへやってくる地維。その後ろに真姫は早花の影を見る。彼女は地維の横をすり抜ける。幻に教えられなくてもあなたに恋してた、お姉さんがあなたを縛っているのではない、あなたが早花さんを解放しないのだ、と。
 地維は彼女を追いかける。運命の出会いの本当の意味は、幻を終わらせてくれる女性のことだ、と。
 草は手の包帯を解いて、二人のためのカクテルを用意させるのだった。


私的考察

 しかしやっぱり草さんのほうが印象的だぞ(笑)。この話。
 前編終わった段階では、レディ・ローズのことなどほとんど触れていなかったので、草さんが地維さんを好きなのかと一瞬邪推してしまったではないか(笑)。レディースだからそれはないとは思ったが(笑)。



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