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白い炎
集英社マーガレットコミックス
1978年8月20日 初版発行


*白い炎 (別冊マーガレット1977.2)

 表題作。
 1893年冬・パリ。
 クルティザーヌ(売春婦)の母親が亡くなった16歳のマリ・ブランシュ・ロゼェは父親の屋敷・シュバリエ家へやってきた。
 家族となった中で、同じ年の姉・ジゼールと小さな弟のアンリ、それにジゼールの恋人の詩人のオリヴィエは彼女に好意的だったが、夫人と妹のマリは彼女の存在に否定的だった。そして父親に関しては…よく判らなかった。
 シュバリエ家の娘として、社交界へ出ることを勧められるブランシュ。だが彼女は新しい服を最新のデザイナーに注文するより、自分自身で作ることを選ぶ。お針子をしていた彼女の望みは、「自由な」服を作ることだった。
 初めて自分の作った服を着て出たサロンで、やはりクルティザーヌ出身のナタンソン夫人と出会う。
 また、オリヴィエに連れられて、舞台女優のジャンヌ・ルヴとも出会う。彼が見せてくれる新しい世界は、彼女に服にも「発表と宣伝の場」が必要だということを気付かせる。
 ブランシュはまた、ジゼールの服も頼まれて作るが、それは母親や叔母たちの反対にあう。彼女のデザインを認め、真っ先に着ることにしたのは、ナタンソン夫人だった。夫人は彼女に会社社長のマルセル・グリフを紹介する。グリフ氏にブランシュも良い印象を持つが、それ以上に自分がオリヴィエに惹かれていることをブランシュは気付く。しかし彼はジゼールの恋人だった。言わなくとも心で思っているだけでいい、と彼女は思う。
 ナタンソン夫人のおかげでブランシュの服は次第に話題になる。世間で人気のデザイナー達とも出会う機会を持つ。
 そんな中で、父・シュバリエ氏が急死する。そして実は彼は彼女の夢のための後ろ盾になってくれるつもりだったことを知り、愕然とする。ブランシュは分けてもらった遺産で小さな店を買う。
 父の死はブランシュだけでなく、シュバリエ家の人々にも波紋を落とす。ジゼールは銀行家のモリヌー氏とつきあい始める。
 有名なデザイナーのジャック・ドゥセと引き合わせられたブランシュは、「はじめてのものには常に抵抗がある」と「今は」自分もその新しい服を受け入れられない、と言われ、「パリの街の女性が受け入れてくれれば成功でしょう?」と問い返す。発表と宣伝の場が必要だった。彼女はジャンヌ・ルヴを訪ね、自分の服を着て街を歩いてもらいたい、と頼む。
 そして彼女は、服が主体のファッション・ショーを開くことを考える。ナタンソン夫人もジャンヌ・ルヴも、そして彼女のスタッフ達も一丸となって働き始める。
 そんな中で、グリフ氏はブランシュに結婚を申し込む。仕事を続けてもいい、という。だが彼女はやはりオリヴィエを忘れることはできなかった。
 そのオリヴィエは、ヨーロッパの各地を客員講師として回るとジゼールに告げる。ついて来られない彼女に彼は気付いていた。ジゼールはモリヌー氏と婚約する。
 そしてファッション・ショーの日、オリヴィエはブランシュに花束を贈る。愛を込めて、という言葉にいったんは飛び出しかける彼女だったが、「ずっと前から今日を待っていた」というアンリの言葉を思い出し、自分にかけられた周囲の思いを思い出す。
 そして彼女はいつの日か自分達の道が重なることを祈りながら、自分の場へと戻っていく。


*金色の森のレミ (別冊マーガレット1976.12)

 田舎の町の「紫苑荘」に越してきた小学6年の陸。そこで出会ったのは村のガキ大将達…その中に、うす明るい髪の少女、れみが居た。彼女の住む家は「金色の森」とよばれ、大きな桂の木で覆われていた。
 「紫苑荘」は父親が昔はよく使っていたが、ここしばらくはうち捨てられていた状態となっていた家だった。
 陸は次第に村の子達とも遊ぶようになっていく。
 ある日、れみは不注意で湖に落ちた陸を血相を変えて心配する。彼女の母親は、湖に落ちて死んだのだという。フランス人とのハーフだった母親は、とても綺麗な人だったと。
 そしてある日、当初は入られるのもいやがっていた、自分の家の野原で村の子達と遊ぶ陸。
 だがその目が、自分を見ているのではないことに気付いたれみは、以前に自分達が作った落とし穴に引っかかって転んでしまう。
 「金色の森」に彼女を送っていく陸。そこで父が昔描いた肖像画に会う。
 父親が「紫苑荘」を昔愛して、今捨ててしまっている理由を彼は知っていた。「金色の森」のレミ夫人を父親は愛していたのだ。
 だが湖で彼女が亡くなったという知らせを聞き、肖像画を描くと、それを「金色の森」に送り、夫人のことをふっきったのだと。陸は父も、父と仲の良くない母も、そして父の恋人である夫人も嫌いだったが、絵の中の夫人を見た時、憎しみは憧れと同化したのだった。
 だがその話を聞いたれみは、自分を見ていた訳ではなかったことに怒り、痛めた足のまま駆け出す。陸はそれを追いかけ、違うということを伝える。確かにはじめはそうだったかもしれないけど、自分が見ていたのは、まぎれもなくれみ本人だ、と。


*しあわせなメイ (別冊マーガレット1976.1)

 スランプ気味の絵を描く女性がある時、一人の少女と出会う。「5月生まれだからメイ」という彼女に、女性はふと自分の面影を見る。
 メイは妹を連れて友達の家へ遊びに行く。母親はいないし、父親も昼間は留守なのだ。
 庭でおしばいごっこをするメイ達。色んな話をメイは作っているが、王女と騎士の物語をすることにする。メイは騎士で、友達が王女。その中で「魔の山」のがけのシーンをするために、メイは無花果の木へ登り、落ちてしまう。
 慌てて友達の母親も近寄り、彼女を介抱する。手に赤あざができてしまい、どうやらそれは残るかもしれなかった。そして友達の母親は、もう「こんりんざいこの木にのぼっちゃいけませんよ」と言う。
 それを見ていた女性の手にも赤あざがあった。


私的考察

*白い炎
 これは昔、マーガレット本誌で読んだ時にも「強い作品だな」と思ったものだった。今よりもまっすぐに主張が現れてるしね。同じテーマだったとしても、今の方がやっぱり丸くなっている。
 んでもって、ちょっと詰め込みすぎの感が。今この話を作ったら、コミクス上下くらいにはなるんではなかろーかと思う。
 時代的には、「コルセットで締め付ける服」から「自由な服」へと移り変わるちょっと前。シャネルの話などを参考にして作られてるんじゃないかな、という感じもする。ただしシャネルの方がずっと「成り上がり」だし激しいけど(笑)。
 でもこうゆうマンガが巻頭カラーに来れた時代、だったんだよねえ…
 今では「歴史ロマン」みたいな雑誌も休刊になってしまうような世の中だし!

*金色の森のレミ
 リリカルざんす。
 「金色の森」だの「紫苑荘」だの(…この紫苑荘がマンサード屋根の見事な「こじんまりとした洋館」なんだよ〜)「田舎」と言いつつ何か別世界のような(笑)こういう世界、やっぱりこの時期のものだな、という感じが。
 ほのぼのとした少年少女の恋物語でもあるんだけどさ。やっぱり裏に父親のこととかあるあたりが実に。

*しあわせなメイ
 …何かすごくあらすじに困ったんですが。
 何か妙な感じの話だよな、と昔も思ったんだけど、今よく見ると、この話、名前が無いのよね。誰も。「メイ」と呼ばれている子は居るんだけど、「呼ばれてる」だけで本当にそうなのか、も判らないし、妹は妹でしかないし、友人達には呼び名すら無い。友人の母親も「おばちゃま」と呼ばれてるだけだし。
 みょ〜に不安定な印象を受けてたのはそのせいだろーか。
 で、この語り手の女性も顔が出てこない。記憶の中の光景を見てしまった、ということなのかもしれないけど、そーやって考えると、何か非常に怖い話だな、という感じが今更のようにしたのでした。はい。



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