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茗子センセーション
集英社YOUコミックス
1983.12.17初版
茗子センセーション
(YOU1981.2)
とある高校の臨時講師としてやってきた古典担当・若菜茗子さん。
長い髪にGパン履きの、初めからなかなか型破りな彼女の配属された1年3組には、様々な生徒が居た。いつも走っている陸上部の須磨蔵人、問題のある女生徒六条螢子、生徒委員の椎本澪、喋らない関屋与一…
その六条螢子を茗子さんは盛り場で見つける。螢子を連れ帰ろうとする茗子さん。その時店の女店員が、彼女のことを「メイ」と呼び驚く。
翌日はちゃんと学校に来る螢子。掃除を率先して汗流しながらやる茗子さんに嫌々ながらも従う螢子。だがその汗をぬぐうべく長い髪を上げた時、彼女の首筋にカミソリ傷があるのに気付く。スケ番達のケンカで使う2枚刃のものであることに螢子は気付く。
そして螢子がある日補導される。引き取りに警察に行くと、そこには彼女の昔なじみの刑事・柏木が居た。
学校に引っぱり出されてくる螢子。やってきた教室で、彼女は茗子さんの過去をばらす。高校時代は硬派の一匹狼の「メイ」としてならしていた、と。さすがにそのことが学校では問題になる。
そんな中、柏木は螢子に会いに行き、実は茗子さんも、螢子と同じく家族に構われなくてぐれてしまっていたのだ、と話す。
一方生徒達は、過去は過去として、今一生懸命な茗子さんの肩を持ち出す。
登校してきた螢子は、走る須磨に「心臓が良くないのに何で走るんだ」と問いかける。答える須磨。答えを聞きながら螢子は追いかける。そこへ茗子さんが乱入する。螢子は茗子さんに「柏木に惚れてたのか」と問いかける。答える茗子さん。だけどその時に既に恋人がいたのだ、と。
やがて走る彼女達に、クラスの皆が何故か乱入し始めた。
茗子さんはそれまで疑問を持っていた授業のやり方をその後一気に変えることとした。
茗子さんは日曜日
(YOU1981.6)
日曜日。昨夜のうちにテストの採点を済ませておいた茗子さんは完全に自由だった。
晴れやかな空の下、街に出る彼女。裏通りで恐喝されているらしい少年を見つけ、思わず昔とった杵柄、で恐喝してる側を追い返してしまう。
されていたのは、可愛らしい少年。だが映画にもついてくる、アイスを勝手に買っては金を払わせる…何やら訳の分からない子だった。
だがどうも、その子を先ほどの恐喝してた連中が追いかけているらしい。
何だかんだでそのままその子を連れて散歩してしまった彼女、とうとうまた恐喝の連中と巡り会ってしまい―――しかも立ち回りまで演じてしまう。
しかもそれを止めたのが、柏木氏だった。
結局警察に引っ張られてしまい、「身元引受人」として柏木氏が家まで送っていくことになる。
彼女の好きな人が柏木氏であることを知った上の少年の言葉で。
ジョーク301
(YOU1982.10月号)
茗子さんの担当の2年1組は3階の301教室にあった。
問題の多いそのクラス。今日も今日とて、足を踏み入れた途端にカンシャク玉が弾ける。だがさすがに茗子さん。イアープロテクタをつけていた…
そんなことが日常茶飯事になっているクラスは、「そんな生徒」をかき集めて編成されたようなクラスだった。
そんな茗子さんに、同僚の野分先生は好意的だったが、周囲はそうでもない。その野分先生の授業中にも、次に茗子さんにどう反撃しようか、と作戦を練るガキども。とは言いつつ、ふらふらながらもクラスはまとまっていた。
しかしそのクラスに、休学していた男子生徒・惟光薫が帰ってくる。彼は保護観察中の身だった。柏木氏の連れてきた彼は、一応茗子さんと握手をかわす。
その惟光。茗子さんを気に入ったはいいが、「モノにしてしまうのに限る」と体育倉庫で彼女を襲おうとする。だが彼女の首筋の傷に気付いた惟光はそのスキに茗子さんに形勢逆転される。啖呵を切る茗子さんに改めて惟光は惚れ直すが、このことが、下手な噂に転換してしまう。
そんなおり、他校の惟光の仲間が、「歓迎会をする」と集まってくる。警察を呼ぶ教頭。茗子さんは「警察を帰すまで惟光を渡せない」と突っ張る。
そして「警察から」柏木氏がやってくる。彼は窓から「仲間」達に現在の惟光が保護観察中であることを説く。足を引っ張るつもりか、と。一方惟光に対し、「きみが逆戻りしようと自業自得だ/だが忘れるな きみのやること いっさい 茗子先生にふりかかる」と釘を刺す。
立てこもった教室で授業を続けていた野分先生や惟光の視線を受けつつも、茗子さんは柏木氏と外に出た。柏木氏は言う。「どうやら301教室の連中はあなたを大事に思ってることに気付いたようだ」
…かと言って、生徒の襲撃が終わる訳ではない。今日もまたカンシャク玉が…
海が燃える日(同時収録)
(YOU1981.3)
作家の家に「お手伝い」としてやってきた中田南。道中、ローラースケートで走る双子にぶつかりそうになるが、それが目的の水口家の子供達だった。
採用まえに子供を怒鳴るとは頼もしい、と雇われる南。
この家には「あかずの間」があった。決して得意ではない家事に奮闘する南は、床についてからもその部屋のことが気になっている。
双子と買い物に出かける南。途中で普段から水口に色目を使う別荘の未亡人に会うが、子供達は夫人を嫌いな様である。何故か行きつけの店ではなく、遠いスーパーへ買い出しに行く南。バスの中で、何やら彼女を知っているような町の人に会う。
そして相変わらず家事は上達しない。だが水口はそれに寛容だった。未亡人がどれだけ立派なパイを焼いてきても、だ。
だんだん南に馴染んでくる双子のあんとりん。ある日、ちょっとしたことから南の過去を訊ねてしまう。「恋人はいたけど死んだ」という南に二人はしゅんとする。
ところがまた、南を知っている様な口振りの人が出る。未亡人はそれを聞きつける。
その話によると、五年前にこの家を手放したのは、南なのだ、と。
「あかずの間」の鍵を持っていたのは南だったのだ。開けたその窓からは美しい花火が一杯に見える窓と、五年前に封印してしまった「幸せ」だった。揃えた家具、縫いかけのウエディングドレス…彼女は婚約者に捨てられたのだ。
だが水口はそのことを気付いていた。彼女の婚約者は、水口の後輩だったのだ。南は鍵を窓から投げ捨てる。
ローラースケートを双子から習う南。止め方が判らずに水口の胸に飛び込んでしまう。家事も上達してきたし、双子はどうやら次の段階を待っているようだった。
私的考察
茗子センセーのシリーズその1。
やっぱり時代ですわね。何つか。
この時代(80年代初頭)と言えば、「校内暴力」花盛り。金八先生とかもこのあたりだったかしらん。
けどまだ理由が判りやすかった頃だな。非行に走るにしても、その方法にしても、群方にしても。ちゃんと暴力を暴力と判っていた時代ではなかろーかと。
…今の怖いのは、他から見て暴力であるものを、やっている当人がそう思っていないことが多いことじゃなかろーか?
だからこそ、この時代、こうゆう先生を市川さんも設定したのではなかろーか。型破りで、過去に自分もそうだった、という。
でも硬派なひとっていうのは内面純情なんだよな。鎧が固い分だけね。
ところでこのシリーズは、「名前源氏物語」でもあるんだよな。よーく見ること。皆源氏物語関係の名前になってるぞ。この続編の「リヴェラル・センセーション」も。
同時収録のこの作品は、まあ地味ですが、切ないざんす。