幸福の眼
集英社YOUコミックス
1999年9月27日発行
@幸福の眼(YOU1998.7.10号)
大学生の大江 実は、夏休み前日に学生課で紹介され、料理写真家・草刈 頼の手伝いのバイトに行く。
荷物運びなど体力が必要な仕事にびっくりする実だが、「本物の光・本物の料理」にこだわって写真を撮る草刈の仕事と人柄に魅せられ、草刈の正式の助手から、独立した料理写真家へと成長していく。
A海の食卓(YOU1998.9.25号)
独立2年後の実。撮影現場のビルでモデルの南 長都とぶつかる。別件で彼と再会した実は、女性情報誌で彼を使った沖縄の郷土料理の写真を依頼される。沖縄の豊かな自然の中での撮影に感動を覚え、長都にも一瞬迫られるが、やはり海での魚の撮影に我を忘れてしまう実。「おいしい恋の卵をひとつ逃したのかもしれない」。当分は仕事に生きる実であった。
B大地の実り(YOU1998.12.10号)
草刈門下の飲み会で、舞い上がって次の仕事の話をした実。大きな仕事ではあったが、もともと先輩・坊屋の仕事に決まっていたこと、そしてそれが「女の子カメラマン」を一緒に売り出そうとしていた企画であったことを知らされ、別の仕事が重なっていたことを理由にキャンセルする。坊屋からは「甘えるな」と言われるが、納得がいかない感情の時に幸せないい写真は撮れないと。
「もう一つの仕事」の方で、大根畑を撮りに行った実は、その農場の主人である女性に出会い、話を聞くうちに、自分のこだわりをもう少し柔軟に考えてみることにする。
Cワイルド・キッチン(YOU1999.3.10号)
大根畑の写真が好評だったことで、「雪の中に春の芽吹く」北海道をテーマに写真を撮ることになる。そこで編集者の群 克子と一緒に北海道のペンションへ出向く。そこは群が7年前に別れた恋人の高見が経営する宿だった。高見の経営態度や夢に魅せられる実だったが、撮影に夢中になって雪崩に巻き込まれそうになった時に自分を助けた高見を見る必死な群の姿と、自分が夢を持ったままで相手の夢には入っていけないことは判っていたため、群の背を押す。
Dハイ・ティーの庭(YOU1999.8.10号)
師である草刈が、編集者高木と結婚した。その席で出会った、坊屋のことが好きそうな新人女性・五十嵐の出現もあるのだが、どうも自分と結婚のことが身近に感じない実。ところが坊屋は自分にプロポーズする。しかし父の定年後、家庭を捨て、自分の夢である樹医の仕事を選んだ母のこともあり、自分自身に関しては自信が無い。だが柔軟な姿勢を持つ坊屋の言葉で、自分が解きほぐされていく感触はあり、行動を起こしたことでお互いに変わった父母のことも含め、前向きに検討してみる実であった。
私的考察
1999年9月現在、最新の単行本。
結構「いつ出るか判らない」シリーズだったんで、こうやってまとまってくれると嬉しいね。
全体的に「明るい」。あ、でもコメディとかの意味ではなく、前向きで光に満ちている、って感じかな。扱っている仕事のせいもあるし。
キャラクターは、最近の定番(元気な女性・理解者の恋人(みたいなもの)・魅力的な脇役)が上手く配置されていて、すんなり読める。
とにかくこの方の女性の仕事ものの場合「あ、何かやってみたいな」という気にさせてくれるんだよね。(…料理ものの場合は「食べてみたい」になるんだけどさ)おかげでしばらくぼんやりしていた写真撮りの意欲が(笑)。