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ひみつの花園
集英社ファンタジーメルヘン
1983年7月30日 初版発行
原作はバーネットの「秘密の花園」。
そのあらすじをおおまかに抜いて、市川さんらしい水彩の美しい絵で描いている。
「どういう話」かは、児童文学のコーナーへ行って、「秘密の花園」を読んでみてください…でもここを目にしている人は、結構子供の頃に読んでいるかも。
絵は、主線をペンなどではっきりさせない水彩画。あとがきにあったように「色を重ねて地味な配色」が美しい。
*表紙(カバー)
表…花の中で楽しそうに踊る裸足のメアリ
裏…芝生の上、うさぎと駆け回る裸足のディコン
*中扉
ひみつの花園の扉を開けるなわとびを持ったメアリを遠くに見て、いばらの木。全体的にブルーグレイ。地面とメアリの髪の黄色がその中に浮かび上がる。
*場面1
メアリがクレイブン家にメドロック女史に連れられてやってくる。
青紫がかった灰色が基調。紫の服のメドロック女史と、喪服のままのメアリの見上げるクレイブン家はとても陰気な印象である。空もまた、暗くよどんでいる。
*場面2
翌朝。メアリと女中のマーサとの出会い。小柄なメアリは、大きな寝台に埋もれそうになっている。マーサは三つ編みで、くりくりとした目を生き生きさせながら暖炉に火を入れている。
壁のくすんだ緑が、陰影によって微妙に変化している。メアリのベッドのカーテンは重そうな紫。
*場面3
散歩に出るメアリ。ベンじいさんとの出会い。こまどりとの出会い。
空は白く、地面はまだ青みがかった黒だが、こまどりとの出会うあたりでは、ぼんやりと明るい黄色や紫になっている。メアリの服も、淡いピンクになっていてかわいらしい。
*場面4
ひみつの花園の過去。青が基調の大きくうねった薔薇の木。美しい、花輪を頭につけた女性と、それを追うかの様な男性。つまりはクレイブン氏の若い頃と、亡くなった夫人。
クレイブン氏の病気はさすがに省略している。
*場面5
春が来たある朝、メアリ窓を開ける。広がる青い空、空の色を映したような野。
メアリの寝間着も淡いオレンジ色。
そしてメアリは鍵を拾う。
*場面6
ついにメアリはひみつの花園の扉を開ける。そこは外の明るさとは異なった、死んだ様な世界だった。全体的にシアンがかったブルーグレイの枯れた木々。そこへ、明るい世界から扉を開いたメアリの姿が浮かび上がって見える。ちなみに手にはなわとび。マーサのおみやげ。
*場面7
メアリ、ディコンと出会う。視点は上から下。大地の色が穏やか。黒→紫のグラデーションの木の根本で笛を吹くディコン。どう見ても「やんちゃ坊主」。
*場面8
クレイブン氏が戻ってくる。深い青緑の「いい服」を着て、赤いリボンをつけたメアリ、クレイブン氏と対面。背景は赤系。クレイブン氏は茶色。
*場面9
夜中。泣く子供の声を探しに来たメアリはとうとうこの家の息子、コリンと出会う。
コリンの部屋は全体的に夜の紫。沈み込んでしまいそうな色合い。その中に真っ赤なガウンと、明るい光を持ったメアリの姿が象徴的。
*場面10
かんしゃくを起こすコリンに切れるメアリ。彼女のけんまくの激しさか、その中に含まれる暖かい心を表しているのか、画面中心のランプの灯りが実に明るい。
*場面11
コリン、車椅子に乗って花園に入る。すっかり手入れのされた庭は、緑と花の咲く美しい場所になっていた。さりげなく、メアリとコリンはお揃いのセーラーカラーの服だったりする。服の白さが、この画面の中心に感じられる。画面の色合いは薄い青緑が基調。
*場面12
ベンじいさんのあまりな言い方に切れたコリンはつい立ってしまう。驚いて何故か心配げな顔のメアリと、本当に嬉しそうなディコン。コリンはベンじいさんを指さし、細い足で、それでもすっくと立っている。
空が夕暮れの様に金色(いや画面上では山吹色だが)。ベンじいさんは逆光の位置にいる。塀の草が全体的に濃い青なので、そのコントラストがいい。
*場面13
ディコンとマーサの母と、メアリやコリンは対面する。
緑の花園の中で、楽しそうな対面。「当初の暗かったメアリの面影は既に無い」かのように、服もサーモンピンクのかわいらしいものになっている。
*場面14
クレイブン氏夢を見て、故郷へと帰る。
夢を見ている場面では紫の濃淡+青軽く、という色合い。
だが次の場面では、走ってきた息子と出会う。
紫色の夢を、金色の現実が大きく切り裂く、といった構図? 金色の光が射し込んできた、かな?
*場面15
真っ青な空の下、金色に染まった花園を、子供達三人とクレイブン氏が歩いてくる。
画面いっぱいに広がった金色が、大団円を綺麗に表している。
私的考察
正直言って、この本に関しては、ネットで情報を得るまでまーったく知りませんでした。
入手できたのはひとえに、Westriver氏の「コミックスページ」と、そこで確保してくださったYOUさんのおかげです。ありがとうございました。
ワタシはこのバーネットの原作も好きなので、そこからはずれたものになってしまったらやだな、という気持ちもありましたが、見事に「そこ」をついてらしたのは嬉しかったです。
けど今はこういう本も…出ないでしょうね…うるうる。