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花維新
集英社YOUコミックス
「この星の夜明け」2巻に収録/別冊YOU1998年3月10日号
明治21年早春、田中りんは遠縁の「おはつお姉ちゃん」の婚家へと奉公に出る。そこは洋館、「政府のえらい役人」殿岡子爵の館だった。波津子は子爵に囲われていたのだが、正妻が無くなった後に館に迎え入れられた「新参者」であり、元から居る古株の中で肩身の狭い思いをしていたのだった。
下働きから始めるりんだが、屋敷内の様々な「しきたり」や、洋化洋化と言いながらも全く変わらない家事などに疑問を持つ。
だが生来頭の回転が良い彼女は、庭掃除の時などに「閣下」達と親しくなったり、館つきの秘書?の田宮から、新しい知識を取り入れていく。そして「閣下」達の進言により奥向きに出世する。
そんな客あしらいのおり、殿岡子爵が、「閣下」達と「維新の集大成たる憲法」の話をしているのを聞き、興味を持つ。田宮に話を聞き、興味わ持った彼女は、波津子に読みを聞いたりしながら、次第にこっそりためた新聞を読むようになっていく。そしてその時に「男女同権」という言葉を知る。
だがその時ちょうど通りかかった館の一人息子に手込めにされそうになり、必死で抵抗して事なきに終わる。その時彼女は男が女をものか道具の様にしか見ていないことに気付く。
「男女同権」の意味を田宮に聞くりん。だが今度出来る「民法」では、逆に女の地位は「法的に」低くなることを知り、この家を捨てる決意をする。そしてその時に、りんに手をつけたそうな子爵を今では愛してるかどうかも判らなくなっている波津子をも誘う。
りんの言葉に自分の中の何かを目覚めさせられた田宮も、子爵のもとを去ることになり、彼女に「仕事」を手伝ってほしい、と頼む。無論りんは喜んで応じる。
私的考察
短い作品ではあるんだけど、全編通して、すごく強い意志が感じられる作品だ、と思ったのだ。女性が法で締め付けられる直前。
りんの言う「このままいたらわたしたちは重しをつけられ埋めこまれてしまう せめて軽い身になって自分たちで自分の幸せを考えなくちゃいけない」と言い切るのは特に!
江戸時代までは、まだ武家以外の女性は、わりと男女の「区別」はあっても「差別」は少なかったらしい。少なくとも、「女大学」とかあっても、それはあくまで意識の問題で、法にそう書かれている訳ではない。
だけど、明治憲法の民法では、天皇を家父長とする国家体制が形つくられていたことから、それはそのまま縮められ、一般家庭にも「そうするべき」と強制された。これが太平洋戦争終結まで続く訳だ。